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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(あ)175号 判決 1952年7月15日

本籍

朝鮮慶尚北道軍威郡孝令面馬基洞二九六番地

住居

三重県宇治山田市宮町 国際マーケツト内

荒川治三こと金昌圭方

運搬工

大山理裵こと

金理裵

大正一四年六月二二日生

右に対する窃盗被告事件について昭和二五年一一月一日名古屋高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人近藤亮太の上告趣意は、末尾に添附の別紙記載のとおりである。

弁護人近藤亮太の上告趣意について。

宇治山田簡易裁判所裁判官西田啓一が逮捕状並びに勾留状を発しながら本件第一審の審理判決をしたことは所論のとおりであるが、そのために同裁判官が職務から除斥されることがないことは勿論忌避の理由があるものとも認められない。のみならずこのことは控訴趣意として主張されず、原審も判断していない事項であるのに、論旨は、原審並びに第一審判決は憲法三七条の解釈を誤つたとか不法な審理手続をしたとか非難するが、その前提を欠くものであり、いずれの点も適法な上告理由とならない。(昭和二四年新(れ)第一〇四号同二五年四月一二日最高裁判所大法廷判決、判例集四巻四号五三五頁参照)

なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よにて同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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